トピックス一覧 DATE:2017.04.17 |
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■高額所得者ほど所得税負担率は低い? 「高額所得者ほど所得税負担率が低い」という話を聞いたことはありませんか? 誰がそのようなことを言ったのかというと、意外にも財務省です。平成24年の「所得税の税率構造の見直し」の資料の中で指摘しています。 この資料では平成20年の実態調査から所得が100億円の方が1億円より所得税負担率(所得税/合計所得金額)が10%以上も低いというのです。日本の所得税は超過累進税率を採用しているので、そのようなことはないはず…と思われるでしょう。2月公表の直近の調査(平成27年分)の数字でそのカラクリを見てみましょう。 ■申告納税者の所得税負担率(平成27年分) この調査では約87%の方は合計所得金額が1,000万円以下という結果となっています。 600万〜1,000万円の方の所得税負担率は次のとおりになります。 ---------------------------------------- 合計所得金額 所得税負担率 ---------------------------------------- 600万〜700万円 8.0% 700万〜800万円 9.3% 800万〜1,000万円 10.9% ---------------------------------------- つづきまして、1,000万円から1億円までの所得の方は約12%いらっしゃるとのことです。 こちらの所得税負担率と株式譲渡所得の占める割合は次のとおりになります。 ------------------------------------------------------------- 合計所得金額(円) 所得税負担率 株式譲渡 ------------------------------------------------------------- 1,000万〜1,200万 12.9% 1.9% 1,200万〜1,500万 15.4% 2.1% 1,500万〜2,000万 18.4% 2.1% 2,000万〜3,000万 22.4% 2.8% 3,000万〜5,000万 26.3% 3.7% 5,000万〜1億 28.8% 6.1% ------------------------------------------------------------ ■1億円を超えると株式譲渡益が莫大! ここまでは所得増に伴い、所得税負担率も増加していますが、1億超の約0.3%の方々はどうなのか。なんと減ってきます。 ------------------------------------------------------------ 合計所得金額(円) 所得税負担率 株式譲渡 ------------------------------------------------------------ 1億〜2億 28.9% 13.4% 2億〜5億 26.6% 27.0% 5億〜10億 23.8% 45.2% 10億〜20億 22.7% 59.7% 20億〜50億 19.8% 77.5% 50億〜100億 17.9% 91.2% 100億超 25.6% 63.5% ------------------------------------------------------------ 要は株式等の保有が超金持ちに偏り、分離課税となっている金融所得が軽課されているため起こる現象ということなのです
■103万円の壁とは 一般的に主婦の方がパートに働きに出ると収入額を意識する事が多いのが103万円の壁と言われるものでしょう。給与収入が103万円を超えると夫の収入から配偶者控除38万円が控除されなくなり課税になるからです。しかし103万円を超えて141万円までは配偶者特別控除があるので増える所得税は年5万から10万円と言うところです。103万円の壁と言うのは課税が始まる地点と言えます。 この103万円超は平成30年1月より150万円超に変更されることになっています。配偶者特別控除も201万円までになりますので、課税され始める地点が150万円に変更される事になります。 企業で扶養手当、家族手当等の名称の賃金で出されている妻の扶養手当支給要件が妻の収入は103万円以下となっている場合、妻が就労制限をかけてしまう事も考えられます。政府や経営者団体はこのような場合は基準を検討するように求めています。 ■パートの社会保険加入@ 【106万円の壁】 昨年の10月に従業員500人超の企業に勤める方に社会保険の加入が適用拡大されました。新たに加入対象者になる方は「週20時間以上勤務、月額88,000円以上」となっています。 年間でみると1,056,000円となり「106万円の壁」等と呼ばれています。この対象は従業員500人超の企業ですから中小企業の多くは対象外です。 一般的には「週の所定労働時間」か「月の所定労働日数」のいずれかが常用労働者の4分の3以上の勤務で加入対象となります。 平成29年4月から500人以下の事業所でも労使合意がありパートタイマーが適用条件に合えば加入できます。 ■パートの社会保険加入A 【130万円の壁】 年収130万円以上になると夫の健康保険の被扶養者から外れます。妻の勤め先で社会保険の加入要件に合えば加入するか、又は自身で国民健保、国民年金に加入する事になり、保険料負担が増加します。国民年金でも年間20万円位かかります。 こちらの方が所得税の150万円の壁より意識せざるを得ない壁と言えるかもしれません。 |
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